― なぜ仲の良かった家族でも関係が崩れてしまうのか ―
親の介護は、多くの家庭で避けて通れない問題です。
しかし現実には、介護をきっかけに家族関係が悪化するケースも少なくありません。
それまで仲の良かった兄弟姉妹でも、
・介護の負担をめぐって対立する
・金銭問題で不信感が生まれる
・一人に負担が集中して孤立する
といった形で関係が壊れてしまうことがあります。
親の希望が「介護者の指名」になる
介護の話し合いでよくあるのが、次のような会話です。
親に将来の希望を聞くと、
「できれば自宅で暮らしたい。できれば娘(または嫁)に世話してもらいたい」
という答えが返ってくることがあります。
つまり親の希望は、
「どこで暮らすか」だけでなく「誰に世話してほしいか」まで含まれる
ことが少なくありません。
この瞬間、家族の中では
「介護者が決まった」
という空気が生まれてしまうことがあります。
その結果、
・指名された人は断りにくい
・他の兄弟は安心してしまう
という状況が起こりやすくなります。
本来、親の言葉は「希望」であるはずですが、
現実には役割の決定のように扱われてしまうことがあります。
介護の負担が一人に集中する
親の介護で最も多いトラブルは、負担の偏りです。
例えば、実家の近くに住んでいる人、同居している人、娘や嫁などに
介護が集中することがあります。
一方で、他の兄弟姉妹は、遠方に住んでいる、仕事が忙しいといった理由で、
関与が少なくなることもあります。
介護を担う人は次第に「どうして私ばかりが…」という不満を感じるようになり、
それが家族関係の亀裂につながることがあります。
家族の中にある「女性が介護するもの」という空気
日本では長く、
・家事
・看病
・家族の世話
これらを女性が担うという空気がありました。
そのため現在でも「娘がやって当然」、「女性の方が世話が上手」
という意識が残っている家庭もあります。
その結果、娘や嫁が介護の中心になることがあります。
これは明確に決められるわけではなく、
家族の中の“暗黙の役割”として成立してしまうことが多いのが特徴です。
介護離職という大きなリスク
介護が長期化すると、仕事との両立が難しくなることがあります。
例えば、通院の付き添い、日常生活の介助、夜間の対応などが発生するためです。
その結果、やむを得ず仕事を辞める「介護離職」につながるケースもあります。
日本では毎年約10万人が、
介護を理由に離職しているとされています。
特に40代〜50代は、
・親の介護
・自分の老後準備
が重なる時期でもあります。そのため、介護離職は
将来の生活や年金にも影響する問題になり得ます。
お金の問題が表面化する
介護が長く続くと、費用の問題も出てきます。
例えば、介護サービス費用、医療費、施設費用などです。
さらに問題になるのが
・親の預金を誰が管理するか
・介護費用を誰が負担するか
といった点も挙げられます。
介護を多く担った人が「自分ばかり負担している」と感じる一方で、
他の家族が「お金を勝手に使っているのでは」と疑うこともあり、
これが将来の相続トラブルにつながることもあります。
介護する人が孤立してしまう
介護を担う人は、介護のために外出が減る→人と会う機会が減る→仕事を辞める(辞めざるを得なくなる)
といった状況に陥ることがあります。
そして、その結果、社会的に孤立してしまうことがあります。
孤立した状態で長期間介護を続けると、強いストレスや家族への不満が溜まりやすくなります。
これも家族関係が悪化する原因の一つです。
親の介護は「一人の問題ではない」
親の介護は、本来家族全体の問題です。
しかし現実には
- 親の希望
- 家族の役割意識
- 生活環境
などが重なり、特定の人に負担が集中することがあります。
特に注意が必要なのは、
親の希望がそのまま介護者の決定になってしまうケースです。
親の希望は大切ですが、それと同時に
- 介護する側の生活
- 介護する側の仕事
- 介護する側の将来
も現実的な検討要素として考える必要があります。
まとめ
親の介護によって家族関係が崩れてしまう背景には、
- 親の希望が介護者の指名になる
- 介護負担の偏り
- 家族の役割意識
- お金の問題
- 介護する人の孤立
といった要因があります。
介護は数年、場合によっては10年以上続くこともあります。
だからこそ重要なのは、
一人の家族がすべてを背負う形にしないことです。
さらに、家族だけで抱え込まず、
介護サービスなどの社会的な支援も利用しながら
無理のない形で支えることが大切です。
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