ひとり(単身)で老後を迎えると起こること

終活

「一人で老後を迎える」と聞くと漠然とした不安がありますが、
本当に問題になるのは具体的な場面です。

① 入院・手術ができない!?

病院では、以下を求められます。
  1)緊急連絡先
   これは、容態急変時の連絡入院・退院の調整など、「連絡が取れる人」という意味です。
  2)医療同意の関係者(※保証人とは別)
   本人が判断できる場合は本人の同意でOKですが、
   (意識不明・認知症などで)本人が判断できない場合、手術の同意や延命治療の判断などの
   意思決定を補助する人を求められます。
  3)費用の支払い責任者(保証人・連帯保証人)
   病院によっては求められることがあります。
   未払い時の責任や入院費の支払い保証の役割を求められます。


入院に必要な役割を担う人がいないと手続きが進まない場合があります。
また、調整が必要だったり制限があるため、ハードルは上がりますが、
保証人なしで入院できる病院もあります。

② 施設への入居ができない!?

老人ホームでは、主に次のような役割を担う人が求められます。
  1)入居費や契約に関する責任を負う「身元保証人」
  2)急病やトラブル時に連絡を受ける「緊急連絡先」
  3)死亡後の手続きや遺体の引き取りを行う人(死後対応)

これらはすべて、従来は家族が担ってきた役割です。

そのため、これらを担う人がいない場合、
入居そのものが難しくなるケースがあります。

ただし近年は、身元保証人がいなくても入居できる施設や、
民間の身元保証サービスを利用することで対応できるケースも増えています。

③ お金が管理できなくなる!?

認知機能が低下すると
・詐欺被害
・不要な契約や無駄な支出
・支払い遅延
といった問題が起きやすくなります。

さらに進行すると、
・お金の管理ができなくなる
・周囲や金融機関により利用が制限される
・成年後見制度の対象となる

といった状況になり、
資産があっても自由に使えなくなる可能性があります。

これは「お金がない状態」ではなく、
「お金はあるのに、自分の意思で使えない状態」です。


④ 孤独・孤立

・体調不良
・転倒
・認知症の進行

こうした変化は誰にでも起こり得ます。
問題は、一人暮らしの場合、

・日常的に接する人がいない
・異変に気づく人がいない

という状況になりやすいことです。

その結果、体調の悪化や事故があっても発見が遅れ、
重大な事態につながる可能性があります。

⑤ 死後の手続きが進まない

・葬儀
・契約の解約や費用精算
・遺品整理

これらはすべて、亡くなった後に誰かが対応する必要があります。
一人暮らしの場合、

・遺体の引き取り手を探す必要がある
・契約の解約や費用精算を担う人を決める必要がある
・遺品整理の作業や費用負担の担当を決める必要がある

といった問題が生じます。

親族がいる場合でも、
誰が何を担うのかが決まっていないと、手続きが進まなかったり、後からトラブルになるケースがあります。

回避するための対策

ここまで読んで、「わたし、大丈夫かな?」と思った方は、
「人に頼る」のではなく「仕組みを作る」ことを一つの解決策として考えてみてください。

① 身元保証サービスを使う

家族がいない、家族に頼りたくないという場合、家族の代わりに、
  ・入院保証
  ・施設保証
  ・緊急連絡先
を担うサービスです。

メリットとしては、即効性があること、家族がいなくても対応が可能であることです。
注意点は、費用がそれなりにかかる(数十万〜数百万円)ことと、トラブルの報告もされているため、
サービス事業者の選定は慎重に行う必要はあることが挙げられます。

② 任意後見契約(判断能力があるうちに)

任意後見契約とは、将来判断能力が低下した場合に備えて、
「誰に」「どの範囲の支援を任せるか」をあらかじめ決めておく契約です。
法定後見人は家庭裁判所が指名するのに対して、
任意後見人は家族、友人、専門家など、自分で決めて指名します。

自分で後見人を選べる点に加え、任せる内容をある程度自由に設計できる点が特徴です。

ただし、実際に効力が発生するのは判断能力が低下した後であり、
家庭裁判所が関与する仕組みとなっています。

また、身元保証や死後の手続きなどは対象外のため、
他の制度と組み合わせて準備することが重要
です。

なお、任意後見契約は、契約しただけでは効力は発生しません。

本人の判断能力が低下した後に、家庭裁判所へ申立てを行い、
「任意後見監督人」が選任されて初めて効力が発生
します。

この監督人は、後見人の業務をチェックする役割を担い、
不正や不適切な財産管理を防ぐ仕組みとなっています。

③ 見守りサービス(孤立対策)

一人暮らしで問題になるのは、異変に気づく人がいないことです。
見守りサービスは、人の代わりに「気づいてくれる仕組み」を作るものです。

1)定期連絡(安否確認)
  ・電話・アプリ・訪問などで定期的に確認
  ・応答がない場合は連絡・訪問
  など、「普段の様子」をチェックする仕組みです。

応答がない場合は、本人への再確認だけでなく、
あらかじめ登録された家族や関係者に連絡が行われます。

サービスによっては、スタッフの訪問や警備会社の駆けつけなど、
状況に応じた対応が取られる仕組みになっています。

2)センサー等(生活の異変検知)
  ・人感センサー
   宅内での人の動きを検知
  ・電気・水道の使用状況監視(トラッキング)
   スマートメーターなどの利用データをもとに、日常生活が行われているかを確認
  ・ドアの開閉感知センサー
   玄関やトイレ、冷蔵庫などの扉の開閉状況をもとに、日常生活が行われているかを間接的に確認

24時間動きがない時や、トイレやキッチンの使用がない時に対応がとられる仕組みです。

3)緊急通報
  ・緊急通報(専用のボタンを押すことで、オペレーターや家族に連絡できる仕組み)

ペンダント型や腕時計型などの機器を使い、転倒や体調不良などの際に、
自分で助けを呼ぶことができます。

見守りサービスは、主に高齢期に必要になるものですが、
50代のうちから「こうした仕組みがある」ことを知っておくことが重要です。

将来、親の見守りや自分自身の老後を考える際に、
選択肢として検討できる状態を作っておくことが大切です。

④ 施設入所を前提に考える

「自宅で頑張る」前提を捨てましょう。
それは、一人での在宅は限界があり、早めに選択した方が選択肢が多いからです。
50代のうちから積極的に情報収集をしておくことをお勧めします。

⑤ 最低限決めておくべきこと

これだけは決めておきましょう。

  • 緊急連絡先(友人でもOK)
  • いざという時のお金の管理方法
  • 将来どこで暮らすか(自宅 or 施設)

「完全に一人で乗り切る」はほぼ不可能という前提に立って準備をしておきましょう。

50代の今はまだ選べます。
しかし70代になると、
「選ぶ側」から「選ばれる側」に変わります。

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