介護に悩む貴方へー男性の介護ストレス・女性の介護ストレスー

終活

介護の負担は、男女で現れ方が大きく違うことが研究で指摘されています。

  • 女性の介護者:ストレスを抱え込みやすく、体調不良やうつ症状として現れる
  • 男性の介護者:ストレスを相談できる相手が少なく、孤立・深刻な事件に発展することもある

実際、介護を背景とした悲しい事件の多くは男性介護者によって起きています。
この記事では、介護ストレスの男女差とその社会背景を、統計データと研究をもとに解説します。

日本では介護の6割を女性が担っている

日本では依然として女性が介護の中心になっています。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、主な介護者の割合は次の通りです。

主な介護者割合
女性約6割
男性約4割

さらに続柄を見ると、

介護者割合
約23%
約17%
約14%
息子約11%

日本では長年「家族の介護は女性が担うもの」という固定観念が続いてきたことも背景にあげられます。

女性介護者はストレスによる体調不良が多い

介護研究では、介護をする女性は心理的負担が高く、体調に現れる傾向が強いことがわかっています。
症状としては、

  • 抑うつ症状
  • 睡眠障害
  • 慢性的疲労

などが男性より多く報告されています。

女性介護者の場合、仕事や家事に加えて介護を担うケースが多く、
生活の中で複数の役割が重なることで負担が長時間化しやすい
と指摘されています。

介護は実際の作業時間だけでなく、夜間の見守りや転倒の心配など心理的な拘束も大きく、
「気が休まる時間がない状態」になりやすいことも負担の大きさにつながっています。

女性はストレスが「内向き」に現れやすい

心理学研究では、ストレスの表れ方に次の傾向があります。

傾向特徴
男性怒りや行動として外に向かう(外向き)
女性抑うつや体調不良として自分に向かう(内向き)

女性介護者の心理的負担は非常に高く、

  • うつ状態
  • 睡眠障害
  • 慢性的な疲労/過労
  • 体調不良

といった形で、自分の心身の不調として現れるケースが多いと指摘されています。

男性介護者は「孤立しやすい」

一方で男性介護者には、別の問題があります。
それは、相談しない・孤立するという傾向です。
日本の文化的要因として、
男性は「責任を背負う」「家族を守る」といった役割意識が強いことに加え、
構造的要因として、
介護経験の少なさと相談ネットワークの不足があると指摘できます。

多くの男性は家事や看病の経験が少ないまま親の介護に直面するため、
何が問題なのか、何を相談すればよいのかを整理できない状態に陥りやすいと考えられます。

その結果、相談先につながるきっかけを失い、
介護を一人で抱え込む状況が生まれやすいと考えられています。

介護事件は男性が多い

介護を背景とした事件(介護殺人)の研究では、
加害者の多くが男性であることが知られています。

家族介護の研究を行う
斎藤真緒教授(立命館大学)は次のように指摘しています。

同居介護者の男性は約3割だが、
介護虐待の加害者は約6割、
介護殺人では約7割が男性である。

つまり、介護者の割合は女性が多いのに、事件は男性が多い
という逆転現象が起きています。

介護で追い詰められる男性

介護を背景とした深刻な事件では、加害者の多くが男性介護者であることが知られています。
なぜ男性は介護で孤立し、追い詰められやすいのでしょうか。

家族介護研究を行う斎藤真緒(立命館大学)などの研究では、
その背景として「男性役割の意識(男性性)」の影響が指摘されています。

日本社会には長く、
「男は責任を一人で背負うべき」
という価値観が存在してきました。
この価値観は介護の場面でも影響し、結果として次のような行動につながることがあります。

① 相談関係が作られにくい

男性は幼い頃から、弱音を吐かない、自分で解決する
といった価値観を求められることが多く、
悩みを共有する人間関係を作りにくい傾向があると指摘されます。

そのため、介護の悩みがあっても、友人、親族、周囲の人
に相談する機会が少なく、結果として孤立した介護になりやすいと言われています。

② 外部の介護サービスを利用しにくい

同じ価値観は、介護サービスの利用にも影響します。
本来、介護保険制度には

  • 訪問介護
  • デイサービス
  • ショートステイ

など多くの支援があります。しかし男性介護者の中には

  • 家族の問題は家族で解決すべき
  • 他人に頼るべきではない

という意識から、支援を利用することに心理的な抵抗を感じる人もいます。
また、費用負担や収入減少への不安からサービス利用をためらうこともあります。

③ 強い責任感

こうした状況が重なると、

  • 自分がやらなければならない
  • 人に迷惑をかけられない

という強い責任感が生まれます。

その結果、問題を誰にも相談できないまま
介護を一人で抱え込む状態になってしまうことがあります。

男性介護者の問題の本質は「孤立」

このように男性介護者が追い詰められやすい背景には、

  • 相談関係が作られにくい
  • 外部支援を利用しにくい
  • 責任感から抱え込んでしまう

という複数の要因があります。

そしてその根底には、
「男は責任を背負うべき」という社会的な男性役割意識が影響していると指摘されています。

介護の問題を深刻化させないためには、
「家族だけで抱えるもの」という考え方から離れ、
周囲の支援や介護サービスを積極的に利用することが重要だと言えるでしょう。

勇気を持ってSOS発信を!

介護を長く続けるためには、一人で抱え込まないことが最も重要です。

例えば次の方法があります。

  • 家族で介護を分担する
  • 介護サービスを利用する
  • 地域包括支援センターに相談する
  • ケアマネージャーに支援を依頼する

介護は「家族だけで抱えるもの」ではありません。
社会で支える仕組みが整っています。
勇気を持ってSOSを発信しましょう。

介護ストレスの男女差

最後に、介護ストレスの男女差を整理します。

項目男性女性
介護者の割合少ない多い
相談傾向少ない比較的多い
ストレスの表れ方事件化しやすい体調不良・うつ
社会背景「男は責任を一人で背負うべき」という社会的な男性役割意識「家族の介護は女性が担うもの」という固定観念や周囲からの期待

つまり

  • 女性 → 負担が集中しやすい
  • 男性 → 孤立しやすい

という構造があります。介護問題を深刻化させないためには、
「孤立しない介護」を作ることが重要だと言えるでしょう。

参考資料

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