相続という言葉を聞くと、
「まだ先の話」「うちは大した財産がないから関係ない」
そう感じる方も多いかもしれません。
ですが実際には、相続はほぼすべての家庭に関係する身近なテーマです。
特に50代以降になると、
- 親の相続が気になり始める
- 自分に万が一のことがあった時、家族は困らないだろうか
- お金や不動産で揉めたくない
こうした不安を感じる機会が増えてきます。
この記事では、
- 自分が相続を「受ける」場合
- 自分が財産を「残す」場合
この2つの視点から、
お金の相続・不動産の相続を中心に、最低限知っておきたいポイントをわかりやすく整理します。
相続で対象になるものとは?
相続というと「現金や預金」を思い浮かべがちですが、実際には次のようなものが含まれます。
主な相続財産
- 預貯金(銀行・ゆうちょなど)
- 現金
- 株式・投資信託
- 生命保険金(※一部は非課税)
- 不動産(土地・建物・マンション)
- 借金・ローン(マイナスの財産も相続対象)
【相続を受ける側】まず知っておきたい基本
相続は「何もしなくても自動的に起こる」
親などが亡くなると、相続は自動的に発生します。
何も手続きをしないまま放置してしまうと、後々トラブルになることも。
相続が発生したら、原則として次の3つの選択肢があります。
- 単純承認
財産も借金もすべて引き継ぐ - 相続放棄
プラスもマイナスも一切引き継がない - 限定承認
プラスの範囲内でマイナスを引き継ぐ(実務上は少数)
※相続放棄・限定承認には**期限(原則3か月)**があります。
お金の相続でよくある注意点
- 銀行口座は死亡と同時に凍結される
- 勝手に引き出すとトラブルの原因になる
- 相続人全員の合意が必要なケースが多い
「葬儀費用に使っただけなのに揉めた」という話は珍しくありません。
不動産の相続は特に要注意
不動産は、相続トラブルの原因になりやすい代表例です。
- 現金のように簡単に分けられない
- 名義変更(相続登記)が必要
- 固定資産税や管理の問題が発生する
特に「実家をどうするか」は、多くの家庭で悩みの種になります。
【相続を残す側】今からできる備え
次に、「自分が相続を残す立場」になった場合の視点です。
「うちは財産が少ないから大丈夫」は危険
実は、相続トラブルの多くは“資産が少なめの家庭”で起きています。
理由はシンプルで、
- 分けにくい不動産が中心
- 感情面の対立が表面化しやすい
からです。
お金の相続で意識したいこと
- どこに、いくらあるのかを把握しておく
- 家族がわかる形で整理しておく
- 生命保険をうまく活用する
特に「どの銀行に口座があるかわからない」という状態は、残された家族をかなり困らせます。
不動産は「どうしたいか」を言葉にする
不動産については、
- 売って現金化してほしい
- 誰か一人に引き継いでほしい
- 住み続けてほしい
など、自分の希望を明確にしておくことが重要です。
その意思表示として有効なのが、
- 遺言書
- エンディングノート
です。
デジタル遺産という「見えない相続問題」
近年、相続で増えているのがデジタル遺産の問題です。
デジタル遺産とは、次のような「インターネット上の財産・契約」を指します。
デジタル遺産の具体例
- ネット証券の口座(株式・投資信託・iDeCoなど)
- ネット銀行の口座
- クレジットカードのオンライン明細
- サブスクサービス(動画配信、音楽、クラウド等)
- スマホ決済・電子マネー
- 有料会員サービス、オンラインサロン
- メール、SNS、写真データ、クラウド保存データ
これらは紙の通帳や書類が残らないことが多く、存在自体に気づかれにくいのが最大の特徴です。
【相続を受ける側】デジタル遺産で困るポイント
ID・パスワードがわからないと、何もできない
デジタル遺産の大きな問題は、
相続人であっても、ログインできなければ中身が確認できない
という点です。
- どこの証券会社を使っていたのか分からない
- スマホにロックがかかって開けない
- 二段階認証で先に進めない
結果として、
- 資産があるのに気づけない
- 会費が引き落とされ続ける
- 解約できずに時間と手間がかかる
といった事態が起こります。
勝手なログインはNGな場合も
「家族だから大丈夫」と思って
ID・パスワードを使って勝手にログインしてしまうと、
- 利用規約違反
- 不正アクセスと判断される可能性
があり、後でトラブルになるケースもあります。
原則としては、
- 死亡を証明する書類
- 相続人であることの証明
を提出して、正式な相続手続きとして進める必要があります。
【相続を残す側】デジタル遺産は“準備しないと詰む”
デジタル遺産は、
事前に整理していないと、ほぼ確実に家族が困ります。
やっておきたい最低限の準備
- 利用しているサービスを書き出す
(証券・銀行・サブスク・決済サービスなど) - 「ある/ない」だけでも分かるようにする
残高や詳細までは不要 - ログイン情報は別管理にする
紙・パスワード管理アプリなど
※ID・パスワードを遺言書に直接書くのは避けた方が安全です。
エンディングノートが特に相性が良い
デジタル遺産は、法的な遺言書よりエンディングノートとの相性が良い分野です。
エンディングノートには、
- 利用中のネットサービス一覧
- 「解約してほしい」「残してほしい」の意思
- ログイン情報の保管場所
といった内容を書いておくと、家族の負担を大きく減らせます。
デジタル遺産は「お金」だけの問題ではない
デジタル遺産の問題は、
- 金銭的な損失
だけでなく、 - 思い出の写真やメールが消える
- SNSがそのまま残り続ける
といった気持ちの面の負担にもつながります。
「まだ元気だから大丈夫」ではなく、
元気なうちに整えておくことが、最大の思いやりになります。
相続対策は「見える財産+見えない財産」の両方を
相続というと、
お金や不動産ばかりに目が向きがちですが、
- 見える財産(現金・不動産)
- 見えない財産(デジタル遺産)
この両方を意識することが、これからの相続の基本です。
最初の一歩として、「自分が使っているネットサービスを書き出してみる」
これだけでも、立派な相続対策になります。
相続対策=「早く始めるほど、家族の負担が減る」
相続対策というと、
「難しそう」「専門家に頼まないと無理」
と感じるかもしれません。
ですが最初の一歩は、とてもシンプルです。
- 自分の財産を書き出してみる
- 家族構成を整理する
- どうしてほしいかを考える
これだけでも、将来のトラブルを大きく減らすことができます。
まとめ|相続は「家族への思いやり」
相続は、単なるお金や不動産の話ではありません。
残す側にとっては「家族への最後のメッセージ」、
受ける側にとっては「これからの生活に何らか影響する出来事」です。
このサイトでは今後、
- お金の相続の具体例
- 不動産相続のケース別対策
- 親の相続をどう切り出すか
- 遺言書・エンディングノートの実践方法
などを、順番に詳しく解説していきます。
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