「俺たち、これからどう生きる?」50代後半男性による覆面座談会

暮らし

50代後半に直面する様々な課題。仕事、健康、家族、お金等にどのように向き合っていけばよいのでしょうか。

「若手」でも「完全な高齢者」でもない、人生の“谷間”のような時期に、多くの男性が強い不安を抱えています。
一方で、「ようやく自由になれた」と人生を楽しみ始める人もいます。

今回は、50代後半〜60代の男性3人に集まってもらい、現在の悩みや本音について語っていただきました。
(プライバシー保護のため、一部内容を調整しています)

参加者プロフィール

Aさん(60歳)
今年定年退職。妻と娘の三人暮らし。
退職前に大型バイク免許を取得し、退職後に大型バイクを購入。
現在は、日本各地をバイクでツーリングしている。
「人生で今が一番楽しい」と話す。

Bさん(56歳)
小規模企業の役員。大学生の子どもが2人。
仕事上の不満はあるが、妥協して定年を待つ。


Cさん(57歳)
元ベンチャー企業勤務。妻と二人暮らし。
昨年、業績不振によりやむをえず会社都合で退職。
現在求職中だが、書類選考で苦戦。
自宅時間の増加で夫婦関係も悪化。

司会
mylifenote編集部

会社に必要とされているのか

司会:最近の調査を見ると、50代後半男性の悩みは大きく分けると、仕事、収入や老後資金、健康、家庭内の問題などが多いようです。今日は皆さんが毎日の生活の中で感じていることや直面している状況についてお伺いしたいと思います。

Bさん:会社にとって自分は必要な人材なのか?と考えさせられるような場面が増えました。
20代、30代の頃は、「会社のために頑張る」が当たり前だったんです。
休日も働いて、夜中まで対応して。そういうプロセスを評価してもらえた。

自分の場合は、50代で役職がはずれ、会社の人事や上層部からは、プロフェッショナル人材としての活躍を求められるようになりました。何でも出来て当たり前、一人のプレイヤーとして結果を出して当然と思われる。
でも、その期待に応えようと頑張ろうとしても、実際の職場環境(現場)では、「現場は若手に任せてほしい」「あと何年いるんだっけ?」「大御所は後ろに控えていて」と言われてしまいます。身の置き場に困るというか・・・・。

Cさん:わかります。自分の場合は、もっと直接的でした。
会社の業績が悪くなって、「固定費削減」で退職することになりました。もちろん表向きは“組織再編”ですけど、実際は年齢ですよ。

Bさん:若い頃は「経験が武器になる」と思っていたけど、50代になると「年収が高い人」扱いになる。

司会:転職活動ではどうですか?

Bさん:かなり厳しいです。
エージェントは紹介してくれるんですよ。ただ、条件面でのマッチングしか見ておらず、
私の年齢、得意とするところ、紹介先企業の社風や上司の評判、求めている人物像など十分に情報収集できていないまま候補企業を提示されるので、いまいちピンとこない候補先ばかりになる。面接に進んだとしても、「スキルが求めているレベルではない…」「組織の年齢構成の都合で…」「定年まで間近」といった感じになる。見送りの理由を教えてくれない企業すらある。

Cさん:自分は57歳なんですけど、とにかく書類審査が通らない。万が一通っても、面接で「若いメンバー構成のチームですが大丈夫ですか(うまくやれますか)」みたいことを聞かれることも。
「あ、これ無理だってことかな」って。

Aさん:自分は50代のうちに2回転職していますが、2回とも知人の紹介ですんなり決まりました。50代以降も年収を維持できて、57歳で転職した最後の会社では少しだけど給与アップもしました。

一同:(どよめき) すごい。

退職後、家に居場所がない

司会:50代後半〜60代男性で、意外に多いのが「家庭内での孤独」です。家族との会話がないとか、互いに無関心といった話を聞くことがあります。

Cさん:私の場合、退職して家にいる時間が増えて、妻との距離感が変わった。
妻には妻の生活リズムがあるじゃないですか。そこに自分が割り込んでいる。

最初は「少し休めばいい」って言ってくれていたんですけど、何か月も仕事が決まらないと少しずつ空気が変わってきて。
自分は焦りからイライラするし、そんな私と一緒に家の中にいる妻もイライラしている。

司会:どんな時に強く感じますか?

Cさん:昼間ですね。平日の昼間に家にいると、「社会から外れた感覚」や仕事が決まらない劣等感を感じてしまう。
さらに、家の中では「自分の居場所がなくて落ち着かない感覚」がして、焦りやイライラを感じてしまう。

定年後、本当の人生が始まった

司会:一方でAさんはかなり対照的ですね。

Aさん:そうですね(笑)。自分は逆に、会社を辞めてからの方が楽しい。人生の中で今が最も楽しいと思っています。

Bさん:羨ましいですね。

Aさん:もちろん不安ゼロじゃないですよ。でも、ずっと会社中心で生きてきたから、「自分の時間」がこんなにあるのかって。あれもこれも、何でもできる時間がある。バイクの免許は定年直前の59歳で取得して、退職後にバイクを購入したんです。

司会:以前からバイクに興味が?

Aさん:若い頃から憧れはありました。でも子供が小さい時は車優先で、バイクまで持つというわけにはいかず。
今はバイクに乗って、一人で日本中を回ってます。 北海道も行ったし、四国も行った。
「次どこに行こうかな」って考えてる時が楽しい。
若い頃から音楽が好きなので、推しのライブやフェスにバイクで行くことも。幸せこの上ないです。

Cさん:定年後にそう思える人って、かなり少ない気がします。

Aさん:たぶん、「会社や仕事以外の興味や趣味」を持っていたかどうかが大きな違いなのかもしれないですね。
自分は仕事や出世に”重き”をおいてこなかった(笑)。

50代後半は“肩書き”が消える時期

司会:印象的ですね。

Bさん:結局、会社員って”肩書き”で生きてる部分あるんですよ。自分は会社というところに所属していることや、部長とか役員とかのラベリングに価値を感じていた。そして退職と同時に全てを失うような焦りを感じています。

Cさん:そうですね。転職活動してても思うんですけど、会社名や役職名がなくなると、自分が何者かの説明が難しく感じる。

Aさん:肩書き=自分になるとつらそうですね。自分はずっと営業担当というシンプルな役割を示す看板だけだったので、そのつらさの想像がしにくいのですが。

Bさん:現実問題としてお金は必要じゃないですか。子どももまだ学生だし。「好きなことしよう」だけでは生きていけない年代でもある。

Cさん:そこが苦しい。20代なら失敗しても立て直せるけど、50代後半って“やり直しの時間”が少ない感覚がある。

“働かない不安”と“働き続ける不安”

司会:興味深いのは、皆さん方向は異っていても“不安”自体はあることですね。

Aさん:ありますよ。体力落ちたな、とか。親の介護どうなるかな、とか。
ただ、昔みたいに「会社で評価されるか」の不安は消えました。

Bさん:自分は逆にまだ会社員でいること、会社で評価されたいという価値観に縛られてる感じです。
会社を辞めたい、もっと評価される環境に移りたいと思っても、今の会社を辞めた後どう生きていけば良いかが見えていない。

Cさん:自分はもう辞めざるを得なかったので……。
だから今、「ここから先、定年の年齢という壁を目前に、働けないかもしれない不安や経済面への不安」がある。

“何者でもない自分”を受け入れられるか

Aさん:結局、「会社員じゃない自分」を持てるかということなんじゃないですかね。

Bさん:自分は仕事が趣味みたいなものなので、それは難しいですね。

Aさん:難しく考えずに、例えば、一つの考え方として、小さいことから始めるのでもいいと思う。散歩でもいいし、趣味でもいい。会社と関係ない世界を持つ。

Cさん:……それ、今の自分には必要かもしれません。毎日就活しかしてないので、就活が自分の全世界になっている。

Bさん:転職活動って、落ち続けると自己否定に繋がりかねない。

Cさん:本当にそう。「あなたは不要です」って言われ続ける感じになる。

Aさん:人間の価値って会社だけじゃないんですよ。自分は定年して、それを初めて実感しました。

編集後記

50代後半。
それは「人生の後半戦」に入る時期である一方、まだ多くの責任を抱えている年代でもあります。

会社での立場。
家族との関係。
健康。
老後資金。
そして、「自分はこの先どう生きるのか」という問い。

今回の座談会では、不安を抱えながらも、みなさん前向きにご自身と向き合って模索しているという様子が伝わってきました。同時に、「会社以外の自分を持つ」というテーマが見えてきました。
これからは「何を持っているか」より、「どう生きたいか」という目線で自分と向き合うことがヒントになりそうです。

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