【心の相談室】「これだけ行動しているのに評価されない」これからの働き方をどう考えるか

心の相談室

今回のお悩み

56歳の男性です。

今年2月に会社を退職し、現在、就職活動をしています。

2月に退職した会社では、3カ月間の試用期間を経て、会社が求める成果を出すことが難しいという理由から、退職することになりました。

その前に勤めていた会社も、在籍期間は6カ月ほどでした。そこでは、思うような成果を出せなかったことに加え、周囲や上司との関係もうまくいかず、職場に居づらさを感じるようになり、退職しました。

その前の会社には1年ほど勤務していました。

50代になってから、知人の紹介などを通じて仕事を見つけることはできるものの、「会社が期待している成果や役割を果たせていない」と指摘されることが増えました。

ただ、自分としては「これだけ行動しているのに、どうして評価してもらえないのだろう」と感じています。

仕事は営業職です。

これから就職するのか、場合によっては自営業という道を選ぶのか、まだ決めていません。ただ、少なくともあと数年は働きたいと思っています。

これからの生き方について、アドバイスをお願いします。

回答

まず、「自分ではこれだけ行動しているのに、なぜ評価されないのか」という疑問について、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。

ここで大切なのは、「自分が努力しているかどうか」と「会社から期待された成果が出ているかどうか」は、必ずしも同じではないということです。
これは、相談者さんの努力が足りないという意味ではありません。

むしろ、これまでの経歴を見ると、仕事に対して行動してきたからこそ、「なぜ認めてもらえないのか」という納得できない気持ちが強くなっているのではないでしょうか。

ただ、50代以降の仕事選びでは、この二つを切り分けて考えることが非常に重要になります。

「頑張っているのに評価されない」ときに考えたいこと

営業職であれば、たとえば、

・訪問件数を増やした
・電話をたくさんかけた
・新しい顧客を探した
・既存顧客を訪問した
・提案書を何度も作った

など、自分自身の行動量を評価基準として考えることがあると思います。

しかし会社側からすると、特に50代のシニア層に対しては、

「それによって売上につながったのか」
「新しい顧客を獲得できたのか」
「会社が期待していた顧客層を開拓できたのか」
「利益を生み出せたのか」

といった結果を重視することがあります。

つまり、「行動している」という評価と、「会社が求めている成果を出している」という評価は別物です。

ここに、相談者が感じている「自分では頑張っているのに評価されない」という感覚の原因が隠れている可能性があります。

もちろん、会社側の評価が適切だったのかどうかは、外からは判断できません。

ただ、50代になってから同じようなことが複数の職場で起きているのであれば、「自分の努力を理解してくれない会社が続いた」と考えるだけではなく、自分自身の仕事の進め方を一度検証してみる価値があります。

「何をしたか」ではなく「何が変わったか」を振り返る

一度、これまでの仕事を次のように振り返ってみてください。

「私は何をしたのか」ではなく、
「私が行動したことで、何が変わったのか」
を考えるのです。

たとえば、
「100件電話をした」
ではなく、
「100件電話をして、そのうち10社と商談につながり、2社から受注した」
というところまで振り返ります。

もし受注につながらなかったのであれば、
「なぜ商談にならなかったのか」
「なぜ商談から受注につながらなかったのか」
を考えてみる。

こうした振り返りをすると、自分では見えていなかった課題が見つかることがあります。
一方で、実際には十分な成果を上げていたのに、会社の評価制度や上司との相性など、別の問題があった可能性もあります。

「自分に変えられる部分」と「自分にはどうにもできない部分」を分けることです。

次の会社を探す前に「自分が成果を出しやすい環境」を考える

もう一つ考えていただきたいのが、次の仕事選びです。
56歳からの就職では、「どんな会社でもいいから採用してもらう」という考え方だけでは、入社後にまた同じ問題が起こる可能性があります。

これまでの経験から、
「自分はどんな営業なら成果を出しやすいのか」
を考えてみてください。

たとえば、
新規開拓が得意なのか。
既存顧客との関係づくりが得意なのか。
専門知識を生かした営業が向いているのか。
紹介営業が得意なのか。
企業向け営業なのか、個人向け営業なのか。
一人で動くほうが力を発揮できるのか、チームで動くほうが力を発揮できるのか。
同じ「営業職」でも、仕事内容はかなり違います。

「営業なら何でもいい」ではなく、
「自分が成果を出しやすい営業は何か」
というところまで掘り下げてみてください。

これは就職先を探すうえでも、自営業を検討するうえでも重要な材料になります。

自営業を考えるなら、まず小さく試してみる

相談者さんによると、自営業という選択肢も考えているとのことです。
自営業には、会社員とは違った働き方ができるという魅力があります。
一方で、「会社で評価されないから自営業にする」という考え方だけで始めるのは、少し慎重になったほうがいいでしょう。

会社員の場合は、会社が営業活動の仕組みや商品、顧客基盤などを用意してくれます。
自営業になると、それらを自分で用意しなければなりません。

営業力だけでなく、
「誰に何を売るのか」
「どうやって顧客を見つけるのか」
「いくらで提供するのか」
「継続的に売上を得られるのか」
まで、自分で考える必要があります。

もし自営業に関心があるのであれば、いきなり会社を辞めて独立するのではなく、まず小さな仕事として試してみるのも一つの方法です。
自分のこれまでの営業経験や人脈を使って、「自分にお金を払ってくれる人がいるのか」を確認する。
その結果、少しずつ仕事が増えていくのであれば、自営業という選択肢が現実味を帯びてきます。

「あと数年働く」なら、肩書よりも再現性を考える

56歳から先の働き方では、「大きな会社に入る」「以前と同じ役職に戻る」といったことは、必ずしも目標にしなくてもいいと思います。
「これまでの経験を使って、あと数年間、安定して収入を得られる方法をつくる」という考え方もあります。

たとえば、営業職として培ってきた経験を、別の会社で生かす。
あるいは、営業代行、顧客開拓、紹介営業、既存顧客のフォローなど、自分の得意な部分に仕事を絞る。
会社員と自営業の中間のような働き方を探すこともできます。
これまでのキャリアを「失敗した会社が二つある」という見方だけで終わらせるのではなく、
「自分は何ができて、何が苦手なのかを知るための材料が増えた」
と前向きに捉えてみてください。

最後に

50代になってから短期間で退職した会社が続くと、「自分はもう会社から必要とされないのではないか」と不安になるかもしれません。
しかし、56歳でこれから数年働くことを考えるのであれば、今から必要なのは、過去の評価を取り戻すことではなく、これからの自分が、どのような場所なら力を発揮できるのかを見つけることです。

そのために、まず紙に書き出してみてください。

「これまで営業で成果を出せた仕事」
「成果を出せなかった仕事」
「楽しく取り組めた仕事」
「人間関係で苦労した仕事」
「自分から動けた仕事」
「会社から求められると苦しくなった仕事」

そして、「自分は何をしているときに、相手から感謝されたのか、成果が認められたか」も考えてみてください。

そこには、これからの仕事を考えるうえでのヒントがあります。
「自分はこんなに頑張っているのに、なぜ評価されないのか」という問いを、
「自分は、どんな仕事なら努力が成果につながりやすいのか」
という問いに変えて、ご自身を振り返ってみましょう。

56歳からの仕事探しでは、その視点の変化が、これからの働き方を考える大きなきっかけになるのではないでしょうか。
良いお仕事が見つかること、お祈り申し上げます。

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