今回のご相談
50歳男性です。3歳年下の妻と、20歳になる娘がいます。
私の実家では、お盆と年末年始になると親戚が集まり、みんなで食事会をする習慣があります。食事会の後は、実家に一泊して帰ります。
実家は私たちの家から車で30分ほどの距離です。
毎年、お盆や年末年始が近づき、食事会の日程が決まると、妻は重い空気に包まれます。
はっきり「行きたくない」と言うわけではありませんが、私の実家に行きたくないのだろうと感じています。
娘も大学に入った頃から、「授業やサークルの予定がある」と言って、私の実家の集まりには顔を出さなくなりました。
一方、妻の実家については、結婚以来、一度も帰省したことがありません。妻自身が積極的に帰省したいと言わないまま、今日に至ります。
妻が私の実家を嫌がる理由を考えてみると、もしかすると、食事会の席で親戚にお酌をして回ることが嫌なのかもしれません。
ただ、カジュアルな食事会ですし、親戚の奥さんたちもお酌をしています。晩酌のお酌くらいはして当然ではないかと思いますし、妻は少し気を使いすぎなのではないかとも感じています。
私の兄弟は男ばかりで、女の子どもがいる家ではありません。そのため、両親は妻のことを娘のように可愛がりたいと思っているようです。妻をいじめたり、嫌なことを言ったりするようなこともありません。
もうすぐ年末の食事会の日程が決まります。
妻にこの話をすること自体が、今から少し気が重くなっています。
妻には、どうすれば気持ちよく私の実家の食事会に参加してもらえるでしょうか。
回答
奥様に「気持ちよく参加してもらう方法」を考える前に、一度だけ視点を変えてみてはいかがでしょうか。
「なぜ妻は行きたくないのだろう」と考えるとき、相談者さんは「親戚は悪い人ではない」「食事会はカジュアルだ」「お酌くらいは普通だ」と、ご自身から見た実家の状況を基準に考えています。
しかし、奥様が負担に感じているかどうかは、それとは別の問題です。
「嫌なことをされていない」と「居心地がいい」は同じではありません
実家のご両親や親戚が奥様に意地悪をしているわけではない。これは大切なことです。
ただ、それだけで奥様がその場を居心地よく感じるとは限りません。
たとえば、夫の親族が集まる場では、
「どう振る舞えばいいのだろう」
「義父母をたてて気を使わなければならない」
「親戚の人たちと何を話せばいいのだろう」
「妻なのだから、手伝わなければいけないのだろう」
と、本人にしか分からない緊張感を抱えていることがあります。
相談者さんにとっては30分ほどの距離にある「自分の実家」でも、奥様にとっては「夫の親族が集まる場所」です。
同じ場所でも、立場が違えば感じ方は大きく変わります。
「お酌くらい」は、相談者さんにとっては「妻としての役割」かもしれません
今回、少し気になるのが、「親戚の奥さんもやっているのだから、お酌くらいして当然」という部分です。
相談者さんにとっては、あくまで軽い気持ちのお酌なのかもしれません。
しかし奥様からすると、「夫の親戚の集まりでは、妻としてこう振る舞わなければならない」
という暗黙のルールのように感じている可能性があります。
しかも、一度お酌を始めると、「次は誰に注げばいいのか」「空いたグラスはないか」と、食事そのものを楽しめなくなる人もいます。
お酌をすることが一般的かどうか、そんなことが重要なのではありません。
奥様がそれを負担に感じているかどうかが重要なのです。
もしそこが負担なら、相談者さんが「しなくてもいいよ」と実家で言ってあげるだけでも、重荷を減らすことができるかもしれません。
まず「行ってほしい」ではなく「何か嫌なことがあるの?」と聞いてみる
年末の予定が決まったとき、
「今年も実家の集まりがあるけど、予定大丈夫だよね?」と聞くのではなく、
「毎年この時期になると、実家の集まりのことを考えて少し気が重そうに見えるんだけど、何か負担かけちゃってるかな?」
と聞いてみてはいかがでしょうか。
ここで大切なのは、奥様の答えに反論しないことです。
「でも、うちの親は優しいよ」
「別に気を使うような親戚じゃないよ」
「親戚の◯◯子さんだってお酌しているよ」
「たった一泊じゃないか」
と説明したり、説得したくなるかもしれません。
しかし、それをすると奥様は「理解してもらえない」と感じて、ますます本音を言いにくくなります。
まずは、「そう感じていたんだね」と受け止めることです。
それだけで、これまで言えなかったことを話してくれる可能性があります。
娘さんが参加しなくなったことも、一つのヒントかもしれません
娘さんも大学に入ってから実家の集まりに参加しなくなったとのことです。
もちろん、授業やサークルなど、本当に予定があるのかもしれません。
ただ、20歳になった娘さんが、自分の予定を優先するようになったことを考えると、「家族だから参加するのが当然」という時期から、それぞれが自分の生活を大切にする時期へ移っているとも考えられます。
奥様についても同じです。
結婚したからといって、夫の実家の行事に毎回参加しなければならないとは限りません。
家族であっても、それぞれに「参加したい」「今回は遠慮したい」という気持ちがあっていいのではないでしょうか。
「参加する・しない」の二択にしなくてもいい
参加についてはいろいろな選択肢が考えられます。
- 食事会には参加するが泊まらない
- 食事会だけ参加して早めに帰る
- 今年は参加しない
- お盆は参加し、年末年始は参加しない
- 参加する場合も、お酌などの役割はしない
- 夫だけ参加する
「夫婦なのだから一緒に参加する」という形だけにこだわらなくてもいいでしょう。
特に実家が車で30分程度の距離なら、「参加したら必ず一泊」という部分についても、一度見直してみてもいいのではないでしょうか。
奥様にとって負担なのが「泊まること」だという可能性もあります。
そして、相談者さん自身が実家との関係を調整することも大切です
奥様を「うまく参加させる」ことよりも、夫である相談者さんが自分の親族との間に入って調整することが重要です。
たとえば、
「うちの妻はお酌をさせないよ。」
「妻もせっかく来てくれているんだから、ゆっくり食べさせてあげて」と、ご両親や兄弟に伝えておく。
あるいは、奥様が親戚との会話に困っていたら、相談者さん自身が会話に入る。
妻を「自分の実家に適応させる」のではなく、自分の妻が少しでも楽に過ごせるように、自分が間に入るという考え方です。これは夫婦関係において、とても大切なことだと思います。
「来てくれること」を当たり前にしない
もう一つ、相談者さんに考えていただきたいことがあります。奥様がこれまで毎回参加してきたのであれば、それを「妻なのだから当然」と考えないことです。
自分にとって大切な親との時間に、妻も付き合ってくれている。
そう考えると、接し方は変わってくるのではないでしょうか。
「今年も来てくれてありがとう」
「無理しなくていいからね」
「嫌なことがあったら言って」
と伝えるだけでも、奥様の気持ちは違ってくるかもしれません。
そして、もし奥様が「今年は参加したくない」と言ったとしても、その選択を認めることも必要です。
それは、相談者さんのご両親を大切にしないという意味ではありません。
夫婦それぞれが、自分の親との関係を自分なりに大切にするということです。
「妻の実家には帰省しない」理由もよく考えてみましょう
今回の相談で、もう一つ気になるのが、「妻の実家には結婚以来、一度も帰省していない」という点です。
妻が自分の実家への帰省を積極的に求めないのは、必ずしも「自分の実家に帰りたくない」という意味ではないかもしれません。
たとえば、
「(妻が夫の実家に帰省して辛いのと同様に)夫は私の実家に行くことを、それほど望んでいないかもしれない」
「私が夫の実家への帰省を負担に感じているのに、自分の実家に夫を連れて行くのは申し訳ない」
「夫にまで私の親戚付き合いをさせたら悪い」
と考えている可能性もあります。
妻なりに「お互いの親族付き合いで相手に負担をかけないようにしよう」と考えている可能性もあります。
もちろん、実際にどう考えているかは奥様本人に聞いてみなければ分かりません。
だからこそ、
「そういえば、あなたの実家にもほとんど帰省していないよね。あなたは自分の実家に帰りたいと思うことはある? 僕に気を使って帰省したいと言わないのかな?」
と聞いてみるのも一つです。
ただし、ここでも「だったら僕の実家にも来てよ」という交換条件にはしないことが大切です。
「お互いの実家との付き合いについて、今までどう感じていたのか、一度ちゃんと話してみよう」という話にしてみてはいかがでしょうか。
もしかすると、奥様はこれまで自分の実家についても、相談者さんに気を使って何も言わずにいたのかもしれません。夫婦だからといって、必ずしも双方の実家に同じ頻度で帰省しなければならないわけではありません。お互いが親族との付き合いについて、無理をしないようにすることを考えてみましょう。
今回の年末の食事会をきっかけに、「妻をどうやって参加させるか」ではなく、「これまでお互いの実家との付き合いをどう感じていたのか」を話してみる。
そこから、夫婦にとってちょうどいい距離感を見つけていくのがよいのではないでしょうか。
「参加させる」より「本音を話せる夫婦」に
今回の相談で一番大切なのは、奥様をどうすれば食事会に参加させられるかではないと思います。
「実は、あの集まりは少し苦手なんだ」と奥様が夫に本音を話せる関係をつくることではないでしょうか。
相談者さんにとっては、親戚との食事会は楽しい恒例行事なのだと思います。
だからこそ、奥様にも同じように楽しんでほしいという気持ちがあるのでしょう。
その気持ちは大切にしながらも、「自分にとって楽しいものを、妻にとっても楽しいものにする」のではなく、「妻にとってはどうなのか」を配慮することを考えてみてください。
今年の年末は、食事会の日程を伝えるだけでなく、
「実家の集まりのことだけど、負担に感じていることがあるなら、遠慮なく言ってほしい。無理に参加してほしいというより、どうしたらお互い気持ちよく過ごせるか一緒に考えたい」
と話してみてはいかがでしょうか。
そして、もし話を聞いてみた結果、奥様が「やっぱり参加したくない」と言ったとしても、その気持ちを尊重しましょう。それもまた、夫婦として一つの答えなのです。

