親が高齢になり、実家の片付けを始めた。すると、想像以上の量のモノが出てきた。
何十年も前の衣類、食器、家具、写真、アルバム、手紙、子供達の賞状や卒業証書、子供達の図画作品、使っていない家電……。
「こんなにたくさん、いったい何に使うの?」
そう思いながら、一つひとつ処分していく。
ところが、親の荷物を片付けながら、ふと気づくことがあります。
「これって、将来自分も同じことになるのでは?」
50代は、まだまだ現役世代です。
終活という言葉には「まだ早い」と感じる人も多いでしょう。
けれど、親の家を片付ける経験をすると、考え方が少し変わります。
終活とは、人生の最期を準備することだけではありません。
終活とは、これからの人生を、自分が心地よく暮らすために、余分なものを少しずつ減らしていくこと。
そう考えれば、50代からの断捨離は、決して早すぎるものではないのです。
親の家を片付けて初めてわかる「モノの重さ」
実家の片付けが大変なのは、単純にモノが多いからだけではありません。
そこには、親の人生そのものが詰まっているからです。
「これはまだ使える」
「いつか使うかもしれない」
「思い出があるから捨てられない」
「高かったからもったいない」
「誰かに使ってもらえるかもしれない」
「大事な思い出」
そうやって何十年も積み重なったモノを、子どもが後から整理することになります。
しかも、親本人が元気なうちならまだしも、介護が必要になったり、判断力や体力が衰えたりしてからでは、片付けること自体が大きな負担になります。
だからこそ、子供世代が50代のうちに、一度考えてみたいのです。
「自分がいなくなったとき、この荷物を誰が片付けるのだろう?」
おひとり様なら、なおさらです。
「おひとり様だからこそ」50代から始めたい
家族がいれば、いざというときに子どもや配偶者が片付けてくれるかもしれません。
しかし、おひとり様の場合、将来、自分の身の回りのモノを整理する人が誰になるのかを、より具体的に考えておく必要があります。
兄弟姉妹、甥や姪、友人、あるいは専門業者。
誰が片付けることになるのかは分かりません。
だからこそ、
「誰かがやってくれるだろう」ではなく、「誰かに負担をかけないように、今から減らしておこう」
という発想があってもいいのではないでしょうか。
これは「死ぬ準備」というよりも、むしろ、
「これからの自分を楽にする準備」
です。
50代の断捨離は「全部捨てる」必要はない
ただし、ここで注意したいのが、「終活だからモノを捨てなければいけない」と考えすぎないことです。
断捨離という言葉から、
「とにかくモノを減らす」
「必要最低限のモノだけで暮らす」
「思い出の品まで処分する」
と考えてしまう必要はありません。
「自分にとって本当に必要なものは何なのか」を考えること。
たとえば、次のように分けてみると分かりやすいでしょう。
① これからも使うもの
これは、もちろん残していいものです。
毎日使う家具や家電、仕事に必要なもの、趣味の道具、日常的に着る服など。
「使っている」という明確な理由があります。
② 使っていないけれど、大切なもの
これも無理に捨てる必要はありません。
思い出の写真、手紙、旅行の記念品、家族からもらったものなど。
モノとしての価値ではなく、自分にとって意味があるものです。
むしろ50代からは、
「これは私にとって大切なものだから残す」
と意識して選んでおくことが重要なのかもしれません。
③ いつか使うかもしれないもの
ここは、一度立ち止まって考えたいところです。
「いつか使うかもしれない」と思いながら、5年、10年使っていないものはありませんか。
「いつか痩せたら着る服」
「いつか時間ができたら読む本」
「いつか誰かが使うかもしれない食器」
「いつか使うかもしれない家電」
こうしたものは、「いつか」が本当に来るのかを考えてみます。
それまで2年間使わなかったものは、これからも使わないものとなる可能性が高いと考えられます。
④ 存在すら忘れていたもの
これは、かなり整理の優先順位が高いものです。
押し入れの奥に入れたまま、何年も存在を忘れていたもの。
収納スペースを占領しているだけなら、手放すことで生活空間がかなり変わるかもしれません。
「捨てるかどうか」ではなく「これから使うか」で考える
断捨離で迷ったときにおすすめしたいのが、
「今まで使ったか」ではなく、「これから使うか」という視点です。
たとえば、
「これは高かった」、「昔はよく使った」、「まだ壊れていない」という理由だけで残しているものはありませんか。
もちろん、それだけで捨てる必要はありません。しかし、
「これからの5年、10年の生活で、このモノは自分を幸せにしてくれるだろうか?」と考えてみましょう。
50代は、これから先の人生を考えるにはちょうどいい時期です。
20代、30代の頃とは、これから必要になるものも変わってきます。
仕事中心だった生活から、少しずつ仕事以外の時間が増えていく。
住む場所も変わるかもしれない。
旅行を増やすかもしれない。
趣味を始めるかもしれない。
小さな家に住み替えるかもしれない。
「過去の自分が必要だったもの」と「これからの自分が必要なもの」は違う
今一度見直してみましょう。
「思い出」は捨てなくてもいい
断捨離で最も難しいのが、思い出の品です。
写真、手紙、卒業アルバム、昔の旅行の記念品。
これらは、実用性では判断できません。
だから、「思い出の品まで捨てるべき」とは考えなくていいでしょう。
むしろ、「残す思い出を選ぶ」という考え方がおすすめです。
たとえば写真なら、すべてを残すのではなく、
「自分が見返したい写真」
「家族に残したい写真」
「人生の節目になる写真」などを選んでいく。
昔の手紙も、全部を保管するのではなく、本当に大切なものだけを残す。
「全部残す」から「選んで残す」へ切り替えていきましょう。
「高かったもの」は、これからも必要なのか
もう一つ、捨てにくいものがあります。
それが「高かったもの」です。
ブランドバッグ、高級な食器、着物、高価な家具、趣味の道具。
「せっかく奮発して買ったのだから……」という気持ちはよく分かります。
しかし、購入価格と、これからの人生での価値は別です。
高かったから残すのではなく、
「これから自分が使いたいか」という視点でで考えてみましょう。
もし使わないのであれば、売却、譲渡、寄付など、次の人に渡す方法を検討するのも一つです。
50代の断捨離は「終活の第一期」と考える
ここまで考えると、50代の断捨離を「終活の第一幕」と考えてみるのも悪くありません。
ここでいう終活は、「死んだ後のための準備」ではありません。
「これからの人生をより身軽にするための準備」です。、
- クローゼットを整理する
- 使っていない家具を減らす
- 本を整理する
- 古い書類を処分する
- 使っていない家電を手放す
- 写真や思い出の品を整理する
- デジタルデータを整理する
- 大切なものの保管場所を決める
といったことから始める。そして、すべてを一気に終わらせようとしなくていい。
まずは小さな範囲から始めてみましょう。今日は自分の周り30cmだけを整理する。クローゼットの中だけを整理する。まず最初の一歩は、そのくらいで十分です。
「残すもの」を先に決める
断捨離というと、「何を捨てるか」ばかりを考えてしまいます。
しかし、50代からの断捨離では、「何を残したいのか」を先に考える方法もあります。
たとえば、「この家具は、これからも使いたい」、「この写真は残して飾りたい」、「この本は老後も読み返したい」、「この食器は毎年お正月だけだが使いたい」等、「残すもの」を選びます。
すると、残ったものが自分にとって本当に必要なものになります。
断捨離とは、モノを減らす競争ではありません。
自分の人生に必要なものを、自分自身で選び直す作業なのです。
「これから」を想像すると、手放せるものが見えてくる
50代になったら、一度こんなことを想像してみてもいいでしょう。
「60代になった自分は、どんな家で暮らしているだろう?」
「70代になった自分は、どんな生活をしているだろう?」
「仕事を辞めた後、この家具は必要だろうか?」「仕事を辞めた後、こんな服を着るだろうか?」「老後もこの趣味を続けるられるだろうか?」
今の生活だけではなく、「これからの人生に持っていきたいもの」という視点で考えてみます。
断捨離は「人生の棚卸し」でもある
モノを整理していると、意外なことに気づくことがあります。
「昔はこんなことが好きだったんだな、私」
「この頃は旅行ばかりしていたな」
「この服を着ていた頃は、こんな仕事をしていた」
「この本を読んでいた頃は、こんなことに悩んでいた」
モノには、自分の人生の記憶が刻まれています。
だから断捨離は、単に不要品を処分する作業ではありません。
自分の人生を振り返る作業でもあるのです。
そして、
「これからも大切にしたいもの」と「もう役割を終えたもの」を分けていく。
そう考えると、断捨離に対する気持ちも少し変わってくるのではないでしょうか。
おひとり様だからこそ、「自分で決めておく」
おひとり様の終活で大切なのは、「誰かが決める前に、自分で決めておく」ことです。
自分にとって大切なものは何なのか。逆に、処分しても構わないものは何なのか。
大切な書類はどこにあるのか。
写真や思い出の品はどうするのか。
これらを少しずつ整理しておけば、将来、誰かに頼ることになったときにも負担を減らせます。
そして何より、自分自身が安心できます。
「終活」という言葉に抵抗があるなら、「暮らしの整理」でいい
「終活」と言うと、どうしても人生の終わりを連想してしまいます。
まだ50代なのだから、そんなことを考えたくないようであれば、「これからの暮らしを整える」と考えましょう。
いらないものを減らす。
好きなものを残す。
暮らしやすい空間をつくる。
大切なものを分かりやすくしておく。
それだけでも、立派な終活の第一歩になります。
50代の断捨離は「捨てること」ではなく「選ぶこと」
親の家を片付けると、「こんなにモノを残してはいけない」と思うかもしれません。
でも、本当に大切なのは、単純にモノの数を減らすことではありません。
自分にとって必要なものを、自分で選ぶこと。
そして、
「これはこれからの私の人生にも必要」と思えるものを大切にすることです。
50代は、人生の後半戦を考え始める時期。
まだ体力もあり、判断力もあり、自分で片付けることができます。
だからこそ、これからの後半戦の人生を心配なく楽しむためにも、
「いつかやろう」ではなく、「今、少しだけでもやっておく」。
それが、未来の自分を助けることにつながります。
モノが減った空間には、これからの人生のための新しい余白が生まれます。
新しい趣味を始める。
住む場所を変える。
新しいサークルに入って新しい仲間を作る
あるいは、何もしない自分時間を楽しむ。
新しく生まれた余白には新しい何かが加わって、あなたのセカンドライフを新しい色に彩っていきます。
体力のあるうちに!
断捨離や掃除は体力を必要とする作業です。
選んで、捨てて、メルカリで売却して、、、等、考えることも多く、気力と体力を必要とします。
50代の体力のあるうちに、身の回りの整理を始めましょう。

