【覆面座談会】50代で早期退職。再就職、孤独、お金、そして「これから」

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再就職、孤独、お金、そして「これから」を3人が語る

最近、早期退職制度を実施するという公表を目にする機会が増えてきたように感じます。

「会社を辞めても、これまでの経験があれば何とかなる」
早期退職を決めたとき、そんなふうに考える人は少なくありません。

割増された退職金を受け取り、少し休んでから次の仕事を探す。あるいは、これまでの経験を生かして、以前よりも自分らしい働き方をする。

そんな未来を思い描いて早期退職を選択する人もいるでしょう。

しかし、実際に会社を離れてみると、想像していなかった現実に直面することがあります。

50代という年齢が再就職の壁になること。長年会社の中で築いてきた人間関係が一気になくなること。そして、仕事がなくなることで「自分は何者なのか」と考えてしまうこと。

今回は、50代前半で早期退職を経験した3人に集まってもらい、本音を語っていただきました。

本日の参加者プロフィール

A氏・52歳男性
理系の研究開発職。研究室ごと子会社の事業会社へ異動。その後、事業再編に伴う早期退職制度が始まり、深く考えずに応募して退職。現在はソフトウエアエンジニアとしての再就職を目指しているが、1年以上仕事が決まっていない。

B氏・53歳男性
経理一筋30年。会社の早期退職制度に応募して退職。経理の経験があれば難なく再就職できると思っていたが、書類選考で落ちることが多く、苦戦している。

C氏・54歳男性
電機メーカーで企画・営業を中心にマネジメントを経験。昨年、早期退職制度に応募して退職。現在はファイナンシャルプランナー資格取得に向けて勉強し、資格取得後は保険会社への転職を目指している。

司会:My Lifenote編集部

なぜ早期退職を決めたのですか?

編集部
今日は、会社の早期退職制度を利用して早期退職したみなさんにお集まりいただいています。
まず、早期退職を決めた理由から教えてください。

A氏
私は、正直に言うと、あまり深く考えずに辞めました。
会社員時代は研究開発職だったのですが、所属する研究室ごと子会社の事業会社へ異動になりました。その後、会社の事業再編があり、早期退職制度が始まったんです。

「このタイミングなら辞めてもいいかな」というくらいの感覚でした。

退職金もありましたし、これまでの貯蓄もある。私は物欲もあまりないので、当面は生活できるだろうと思っていました。

編集部
退職後にどうされるかは決めていたのでしょうか?

A氏
ほとんど決めていませんでした。
「少し休んで、それから仕事を探せばいい」と。
今思えば、そこが一番甘かったのかもしれません。

B氏
私は経理を30年やってきました。
「経理の経験が30年あるのだから、仕事はいくらでもあるだろう」と思っていました。
もちろん、年齢のことは多少気にしていましたが、30年の経験はむしろ強みになると思っていたんです。
ですから、退職するときは「次も経理で探せばいい」と、それほど不安はありませんでした。

でも、実際に転職活動を始めてみると、想像とは全く違いました。

C氏
私は、お二人よりは少し計画を立てていたかもしれません。
会社員としてある程度長く働いてきて、「この先も同じ会社で定年まで働くのか」と考えるようになりました。
早期退職制度が出たときに、「今ならまだ次のことに挑戦できる」と考えて応募しました。

現在はFP(ファイナンシャルプランナー)の資格取得に向けて勉強しています。

資格を取った後は、保険会社などで営業の仕事に挑戦するつもりです。
ただ、もちろん「資格を取れば仕事が見つかる」と簡単に考えているわけではありません。

A氏
Cさんは、ちゃんと次の方向を考え出した上で行動しているのがすごいですよね。
私は「何がやりたいのか」と聞かれると、答えられないんです。能動的ではないんですよね。

再就職活動の現実 「いつか決まる」と言われても・・・

編集部
退職後に、みなさん再就職を目指されているわけですが、再就職活動は、実際にはどのような状況ですか?

B氏
私は経理一筋なので、最初はかなり楽観的でした。
ところが、応募しても書類選考すら通らない。
「経験があるのだから、面接くらいまでは行くだろう」と思っていたのですが、そうでもありませんでした。
面接まで進んでも、人事のスクリーニング面接は通るのに、現場の上司との面接で落ちることが多い。
そこで、「やっぱり年齢の割に経験幅が狭いなど、バランスが悪いのかな」と考えてしまいます。

A氏
私の場合、研究職として再就職する道が、ほとんど開けませんでした。
そのため、別の仕事をしようと考えて、現在はソフトウエアエンジニアを目指しています。
研究職の際に研究のために必要なプログラムを書いていました。

組織での実務経験はありません。
「こういう動きをさせる」と決められたものを開発する仕事なら、自分には向いていると思っています。
ですが、50代で未経験の仕事に応募するようなものなので、やはり簡単ではありません。

もう1年以上、仕事が決まっていません。

B氏、C氏
1年というのは長いですよね。

A氏
最初の頃は「そのうち決まるだろう」と思っていました。
世の中エンジニア不足という話も耳に入ってきますし。

半年くらい経つと、「本当に(再就職)決まるのかな?」と疑問に思い始める。
1年を超えると、「自分にはもう仕事がないのではないか」と諦めの気持ちが強くなってきます。

「諦めなければいつか決まる」は、本当なのか

編集部
よく「諦めずに面接を続けた結果、自分に合った就職先が見つかった」といった体験談を目にしますが、みなさんの実感としてはどうでしょうか。

B氏
もちろん、諦めないことは大切だと思います。
気持ちが萎えそうになった時に励まされるので、このような体験談は大切だとは思います。

でも、仕事が決まらない状態が長く続くと、精神的にはかなりきついですよ。
実際、自分の立場がそうなると、「次の会社が決まるまで、諦めずに頑張り続ければいい」なんて、簡単には言えません。

応募して、書類を作って、面接をして、落ちる。
これを繰り返していると、どんどん自信がなくなっていきます。

A氏
諦めなければいつかは仕事が決まるのかもしれませんが、決まるまでの間、孤独が大きくのしかかってきます。

会社にいるときは、毎日誰かと話します。
仕事の話をしたり、雑談をしたり、昼食を食べたりする。
それが退職した瞬間になくなります。

最初は「自由になった」と思っていました。
でも、しばらくすると、「今日は誰とも話していない」という日が出てくる。

仕事が決まらないことの相談をしたり、悩みを打ち明ける相手がいない。
ほとんどが自分完結。
うまくいかない時の孤独は、精神的にきついです

B氏
私は、経理を30年担当してきましたから、その仕事の特性上、会社の外に人脈があるわけではありません。

仕事をしている間は、社内を中心にそれなりに人間関係がある。
でも退職すると、会社の中の人付き合いはほぼなくなるし、当然ながら仕事で知り合った人たちとの付き合いもなくなる。

「ちょっと相談したい」と思っても、誰に相談していいのか分からないんです。
転職エージェントは数をこなしてなんぼなんでしょうね。深い会話はほぼできない。
結果、一人で抱え込むことになり、転職活動にマイナスの影響を及ぼしてしまう気がします。

再就職活動で気づいた「自分の強みと弱み」

編集部
転職活動をする中で、ご自身について新しく気づいたことはありますか?

A氏
私は、「自分で仕事を作ること(作り出すこと)」が苦手なんだと思います。

これまでずっと研究開発の仕事をしてきましたが、基本的には与えられたテーマに対する研究をするのが仕事でした。
「自分はこれをやりたい」という発想や欲求が弱いタイプなんだと思います。
一方で、「これを調べたい」「これを実現したい」と与えられたテーマについて淡々と行動することは得意です。
だから、実務経験がないものの、ソフトウエアエンジニアも自分には向いているのではないかと思っています。

もう一つ気づいたこととしては、このような、私の受動的な性格は、採用に値する魅力として感じてもらえにくいということです。
(採用する側からは)年配者なのだから、周囲をリードして欲しい、新しい解法を考え出して欲しい、新しい製品を創出して欲しいといったプラスアルファの期待値を持たれるようなのですが、それらに応えられるような性格ではないのです。

B氏
私の場合は、経験そのものが強みであり、同時に弱みでもあると感じます。
経理を30年やってきたので、業務知識はあります。
一方で、「昔のやり方に慣れている人」と見られているのではないかと思うこともあります。
経理の仕事は、若い人でもパソコンやシステムを使って効率よく仕事ができる。
そういう人と比較されると、「30年やってきた」というだけでは評価されない。

むしろ、柔軟性や要領の良さを求められる場面では、若い人のほうが有利なのではないかと思います

C氏
私は、会社にいるときは「マネジメント経験がある」ということを自分の強みだと思っていました。
でも、会社を出ると、その肩書きはなくなる。
そこで初めて、自分自身には何が「できる」のかと考えるようになりました。
FPの勉強を始めたのも、そのためです。

資格そのものが目的というより、これから会社の看板なしで仕事をするために、営業の業務経験にプラスアルファとなる実務面での専門性を作りたいと思っています。

「50代」という年齢の壁

編集部
皆さん、再就職にあたって、年齢の壁を感じますか?

B氏
年齢のせいにするのは逃げかもしれませんが、ハードルが高いようには感じます。
もちろん、採用担当者に直接「年齢が理由です」と言って断られることはありません。
でも、結果を見ていると、「経験だけではどうにもならない」と感じることはあります。
特に、同じような仕事ができるなら、若い人を採用したいという会社があっても不思議ではありません。

A氏
私の場合は、年齢以前に実務経験のない分野での就職活動なので壁があるのは当たり前だと思っています。
50代で研究職としての経験を捨てて、別の職種に行こうとしているなんて、
採用する側からすれば、「なぜ今から?」と思うでしょうね。
自分が企業の採用担当者だったら、私を採用するのかと考えてしまいます。

C氏
年齢の壁はあると感じますが、50代だからこそできることもあります。

会社員として長く働いてきた経験、人との付き合い方、リーダーシップや責任を持って仕事をすること。
経験を積んだからこそ感じてもらえる安心感があると思います。

早期退職して気づいた「お金」と「時間」のこと

編集部
早期退職後の収入について、不安に感じられることはありますか?

A氏
私は今のところ、それほど困っていません。
退職金とこれまでの貯蓄を取り崩して生活しています。
もともと物欲が少ないので、生活費もそれほどかかりません。

ただ、今は困っていなくても、「この状態がいつまで続くのか」という不安はあります。
老後資金の貯金額は、少しずつでも確実に、減っていきますから。

仕事が決まらない期間が長くなるほど、精神的なプレッシャーは大きくなります。

B氏
私も、割増退職金のおかげで、今すぐ生活できなくなるわけではありません。
でも、「無収入」という状態は想像以上に心理的な負担があります。

会社員のときは毎月給料が入るのが当たり前でした。
その収入がなくなった今、支出するたびに「これは今使っていいお金なのか」と考えるようになる。

C氏
私は、退職を考えた時に、ざっくりですが生活費を計算しました。
だから、いつまでに次の仕事を得るかという時間的な目標を持つようにしています。
時間という期限が来たら、目の前にある仕事がたとえ自分のプライドを満たさなくても、時間の期限を優先して仕事を決めていくつもりです。

それから、「時間がある」ということと、「時間を有意義に使う」ということは別物だと思うのです。
だから、私は、資格取得という具体的な目標を作って、自分の”次”につながることに期限までの時間を使うことにしました。

早期退職を考えているあなたへ

編集部
もし早期退職する前の自分にアドバイスできるとしたら、何を伝えますか?

A氏
私は、「辞めた後に何をするかを、辞める前にもっと真剣に考えたほうがいい」と言います。

「辞めてから考えればいい。なんとかなるだろう」は、50代ではかなり危険だと思います。
特に私のように、「自分が何をやりたいのか」が明確でない人は、会社を辞める前に考えておいたほうがいい。
そして、会社以外の人間関係ももっと作っておけばよかったと思います。

B氏
私は「自分の市場価値を、会社の外で確認しておけよ」と言いたいです。

会社の中では、それなりに評価されていました。
30年経理をやってきたので、自分は専門家だと思っていた。
でも、転職市場に出てみると、会社の中での評価と市場での評価は恐ろしいほどに違う。
在職中に転職サイトを見たり、求人を見たり、同年代の求人状況を調べたりしておけばよかったと思います。

C氏
私は、会社の外に相談相手を作ることをおすすめします。

私には、幸い、定年退職後に独立して仕事をしている会社時代の先輩がいます。
時々相談したり、情報交換しに行ったりしています。
気軽に相談できて、時には厳しい指摘もしてくれる相談相手がいるのは、精神衛生上とても良いと感じています。
会社員時代には、まさかこんな形で先輩との関係が役立つとは思いませんでした。
退職後は、会社の肩書きがなくなります。
だからこそ、「会社以外での人間関係」が重要だと思います。

同じような境遇にいるあなたへ

編集部
最後に、これから早期退職をする人、あるいはすでに退職して再就職活動をしている人へメッセージをお願いします。

A氏
「何とかなる」と思って辞めるのもいいと思います。
ただ、「何とかなる」「何とかする」は違います。
私は今、その違いを実感しています。
仕事が決まらないと、どうしても自分を否定されたような気持ちになります。
「何とかできる」という具体的なアイデアがあるならば、早期退職をお勧めしますが、
具体的なアイデアがないなら、焦らないことです。

B氏
一人で抱え込まないことだと思います。
私は長年、会社の中だけで仕事をしてきたので、退職してはじめて「相談する相手がいない」ことの重大さに気づきました。
早期退職後どのように生きていくのかという話をできる知人・友人がいるだけでも違うと思います。

C氏
私は、50代はまだ「挑戦できる年齢」だと思っています。
もちろん、20代や30代と同じようにはいきません。
でも、これまで働いてきた経験や人脈があります。
それをどう次の仕事につなげるか。
私自身もまだ道半ばです。
FPの資格を取って、その先に仕事が見つかるのかも分かりません。

それでも、今は常に「次に何をするか」を考えて動いています。
早期退職したことを最大限に生かす生き方を目指していきましょう

編集部より 早期退職は「会社を辞めること」ではなく、「これまでの生き方を一度リセットすること」

今回の3人のお話から、3人3様の早期退職後の様子をお伺いすることができました。

A氏は、退職後に自分が何をしたいのか分からないまま再就職活動に入り、未経験分野への転職という壁にも直面しています。
B氏は、30年間積み重ねてきた専門性があっても、転職市場では思ったように評価されず、さらに「会社を離れたことで人間関係がなくなる」という孤独を経験しています。
C氏は、資格取得という具体的な目標を持ち、会社の外にいる先輩から情報を得ながら、次のキャリアを模索しています。

3人に共通しているのは、「会社を辞める前には気づかなかったことが、退職して初めて見えてきた」ということです。
早期退職を考えるとき、多くの人は退職金や再就職先、失業期間など「お金」の計算をします。
もちろん、それは非常に重要です。
しかし、それだけではありません。

・退職後の「時間」をどう使うのか
・会社以外に誰と付き合うのか
・自分は何をしたいのか
・これまでの経験をどこで生かせるのか
・収入がなくなったとき、どのくらいの期間生活できるのか
・再就職できなかった場合の次の選択肢は何か

こうしたことも、退職前に一度考えておく必要があります。

そして何より重要なのは、「会社を辞めること」と「人生の次のステージを始めること」は別の問題だということです。
早期退職は、会社員としての人生を終わらせる制度ではありません。
ただ、会社という大きな枠組みを失った後、自分で次の場所を探したくなる。
その意味では、50代の早期退職は「自由を手に入れるチャンス」であると同時に、「自分自身で人生を設計することを求められる転機」でもあります。

「辞めた後、何をするか分からない」

そう感じているのであれば、退職を急がないで。
まずは会社にいる間に、小さくてもいいので、会社の外でできること、人とつながること、自分の経験を生かせることを探してみる。
そして、退職後に「孤独」だけが残らないように、仕事とは別の人間関係や居場所を少しずつ作っておく。
今回の3人の話は、そんな準備の大切さを教えてくれているように思います。

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