ひとりでランチを食べる。ひとりで映画を見る。ひとりで旅行に出かける。
かつては誰かと一緒に楽しむことが当たり前だった活動も、いまではひとりで楽しむ選択肢が広がっています。飲食店や旅行会社、レジャー施設なども、ひとりで利用する人を意識したサービスを展開しています。
ひとりで行動する人が、みな「ひとりが好き」とは限りません。
自分の時間を自由に楽しみたい人もいれば、家族や友人と予定が合わない、誘える相手がいないといった事情から、結果としてひとりで行動している人もいます。特に50代以上では、子どもの独立、退職、離婚、死別などによって、これまでとは生活環境が変わることもあります。
それでも、ひとりで楽しい時間を過ごせる選択肢が増えています。
本記事では、ひとり行動をめぐる市場はどのように変化してきたのか。また、ひとりで行動する人たちは、実際に何をして時間を過ごしているのか。調査データをもとに、ひとり行動の広がりと、50代以上のおひとり様の過ごし方を探ります。
ソロ活(ひとり行動)は、どこまで一般化した?
博報堂生活総合研究所の「生活定点」調査によると、2026年に「ひとりで行動するのが好き」と答えた人は36.7%でした。2016年の初回調査から6.2ポイント上昇しています。
また、「ひとりで外食をすることに抵抗はない」と答えた人は51.3%。1998年の初回調査から5.1ポイント上昇しました。ひとりで行動することを積極的に好む人が多数派になったわけではありませんが、ひとり外食への抵抗感は長期的には低下しています。
出典:博報堂生活総合研究所「生活定点1992-2026」「ひとりで行動するのが好き」
博報堂生活総合研究所「生活定点1992-2026」「ひとりで外食することに抵抗はない」
また、ぐるなびが2025年に公表した「一人外食に関する調査」では、月に1日以上ひとりでランチをする人は約6割、ディナーをする人は約4割でした。また、ひとりで映画館に行っても平気と答えた人は約7割、国内旅行では約5割に上っています。
ひとりで食事や映画を楽しむことは、多くの人にとって身近な選択肢になっていることがわかります。
一方、海外旅行やテーマパークなど、ひとりで行くことに抵抗を感じる人が多い活動もあります。すべての場面で「ひとりが当たり前」になったわけではないようです。
出典:ぐるなびリサーチ部「一人外食に関する調査」(2025年10月)
外食市場の数字から見るソロ活市場の拡大
ひとりで食事をすることは、ソロ活(ひとり行動)のなかでも日常に取り入れやすい活動です。
カウンター席のある飲食店、ひとりでも注文しやすいメニュー、ひとり焼き肉やひとり鍋など、複数人での利用を前提としない楽しみ方も広がっています。

サカーナ・ジャパンが2026年に公表したデータによると、2025年の外食店内での1人利用の金額市場規模は約2.7兆円となり、過去最高を記録しました。2019年比では2.2%増です。
この数字は、ひとりで食事をする人が外食産業にとって無視できない利用者層になっていることを示しています。
出典:サカーナ・ジャパン「外食・中食 調査レポート」(2026年4月)
旅行分野にも広がっているソロ活
旅行でも、ひとりで楽しむための情報やプランが充実してきました。
行きたい場所を自由に決め、気に入った場所に長く滞在する。食事や観光の時間を自分の都合で決められることは、ひとり旅ならではの魅力です。
50歳以上を主な読者とする旅行雑誌『ノジュール』も、ひとり旅に関する読者調査を実施しています。50歳以上を主な読者とする旅行雑誌『ノジュール』が2024年に実施した調査では、読者の約9割がひとり旅を経験していました。
出典:JTBパブリッシング「旅好きな50歳以上の約9割が『ひとり旅』経験あり!」(2024年9月)
JTBパブリッシング「旅好きな50歳以上にすっかり定着した『ひとり旅』」(2025年6月)
ひとりの時間の過ごし方
ここからは、ひとりで過ごす時間の具体的な使い方についてみてみましょう。
クロス・マーケティングが2024年に全国の20〜69歳の男女2,500人を対象に実施した「おひとりさま消費に関する調査」では、ひとりで過ごすことのよさとして、「自分のペースでいられる」が48%で最も多く挙げられました。
そのほか、「ストレス解消になる」「自由を味わえる」「周りの人を気にせずにいられる」「ひとりで考える時間が持てる」といった回答もありました。

ひとり時間の過ごし方としては、自宅でのんびりする、テレビや映画・動画を視聴する、ゲームやSNSを楽しむといった過ごし方のほか、自然の中で過ごす、街中や商業施設を訪れる、カフェやレストランでゆっくりするといった活動も挙がっています。

出典:クロス・マーケティング「おひとりさま消費に関する調査(2024年)ひとり時間の実態・意識編
ソロ活(ひとり行動)市場の拡大は、50代以上の暮らしをどう変える?
ひとり外食の市場規模が過去最高となり、ひとり旅も旅行スタイルのひとつとして定着していることから、ひとりで楽しむための選択肢が広がっていることがうかがえます。ひとりで行動する人が増えることは、飲食店や旅行会社にとって、新しい顧客層が広がることを意味します。
利用者にとっても、ひとりだからといって諦めていた活動に参加しやすくなるという変化があります。
ひとりで過ごすことが好きな人にとっては、自由に行動できる場所やサービスが増えることが魅力になります。本当は誰かと一緒に楽しみたい人にとっても、ひとりで利用できる選択肢が増えることは、行動範囲や人とのつながりを広げるきっかけになります。
自分の意思でひとりを選ぶ人も、事情があってひとりで行動する人も、実際には食事や買い物、散歩、映画、旅行など、それぞれの時間を過ごしています。
ひとり行動市場の拡大とは、単に「ひとりが好きな人」が増えることだけではなく、ひとりで行動する人がさまざまな活動を楽しめる選択肢が広がることでもあるようです。
参考資料
- 博報堂生活総合研究所「生活定点1992-2026」
https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/70.html
https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/336.html - ぐるなびリサーチ部「一人外食に関する調査」(2025年10月)
https://corporate.gnavi.co.jp/release/2025/wrrbjs6xpd/ - サカーナ・ジャパン「外食・中食 調査レポート」(2026年4月)
https://www.npdjapan.com/press-releases/pr_20260408/ - クロス・マーケティング「おひとりさま消費に関する調査(2024年)ひとり時間の実態・意識編」
https://www.cross-m.co.jp/news/release/20241212 - JTBパブリッシング「旅好きな50歳以上の、ひとり旅での食事事情」(2025年10月)
https://jtbpublishing.co.jp/topics/CL000809 - Rank+「50代男女の休日の過ごし方ランキング」(2026年6月)
https://rankplus.co.jp/holiday-50s-ranking/

