筆者についてペンネーム
よっちゃん。54歳、神奈川在住のおっさん会社員。6年前に母を亡くし、南房総で一人暮らしをする90歳間近の父を気遣う毎日。介護生活で起きるあれこれを書きます。毎週月曜日更新予定。
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【只今、絶賛介護中!】⑬三歩進んで二歩下がる。施設入居の父のキャッシュカード 受け取り苦戦。
銀行にキャッシュカードを受け取りに行くと約束した日まで残り1週間。
現地にいる兄が連日宅内捜索をしてくれているが、見つかる気配がない。
探し始めてすでに5日が経過した。
「仏間だけでなく父さんの寝室、台所、リビング全部探したけどなさそうだな」
「父さんのことだから、書斎の机の引き出しとか短などことにしまったんじゃないかな?」
「ああ、一応机の引き出しも見たし、PC周辺も見たけど、なかったなあ・・・」
なんとも頼りない返事。
頭は私なんかより数倍良い兄だが、心が人一倍弱いので、これ以上詰めて聞くことをためらった。
「・・・・・・」(ちゃんと見たのかよ)
「・・・・・・」(もう十分やったよ)
「・・・わかったよ。兄さん。俺明日、仕事キャンセルしてそっちに行くよ。」
「・・・・・よかった。助かるよ。頼むな、よっちゃん。」
翌日
マスクをしないと呼吸ができないほどにカビが生えてしまった実家。
その中に、勇気を振り絞ってひとり入っていく。
真っ直ぐに父の書斎に向かう。
机の上にはPC、机の横にはプリンター、そしてファックス付き電話、机袖に4段の引き出し、
いろいろな書類が入ったお道具箱のような書類箱が5つ。
お道具箱のような箱の中には大量の銀行の空封筒がぎっしり詰まっている。
軽く見積もっても1000枚くらいはある。
(どうして銀行の使用済み封筒がこんなに家にあるんだよ)
少しだけ苛立ちながらも、手掛かりを求め、その封筒の山を一枚一枚、中身も含め丁寧に確認していく。
私には向かない根気のいる作業だ。
封筒の中身を確認するために、うつむく。
すると、どこからともなくカビの臭いが漂ってくる。
そしてその匂いにむせる。咳をする。
この繰り返しを2,3時間。
かなり頑張ったが、何の収穫も得られなかった。
少し休憩を取った。
「ぶーん」
部屋の中でぼーっとしていると、耳元を蚊の羽音がかすめた。
部屋の中を蚊が飛んでいる。
蚊を目で追った先に、トンボが飛んでいるのが目に入った。
どこから入ってきたのだろう。
カビがひどいので、家中の窓を開けていた関係で、庭の窓から入ってきたのかもしれない。
部屋の中を飛んでいるとんぼを目で追いながら、
何気なく、父の寝室に向かった。
昔、私の勉強部屋だった部屋だ。
「懐かしいな。。。」
私が使っていた勉強机の袖机部分だけが、父のベッドの横の物置台として再利用されている。
台の上には父の時計と一緒に私が子供の時に使っていたデスクライトが置かれている。
「まだ残ってたんだな・・・」
胸の中になんとも言えないふわっとした温かいものを感じた。
子供の頃、大事なものを一番上の引き出しに入れていたのを思い出して、
何気なくそっと一番上の引き出しを開けた。
丁寧に輪ゴムでまとめられたテレホンカードの束が出てきた。
「テレカか・・・。今、使えるのかな?」
視線をテレカの奥に移すと、そこに通帳があった。
通帳が20冊以上輪ゴムでまとめられて束になっている。
束になった通帳のほかに2冊、比較的新しそうな通帳がバラで置かれている。
「!!!!」
通帳でした。
(っていうか、そんなに難しくないところにあったぞ。)
(なんで今まで見つけられなかったんだ?)
口座番号も、間違いない。
通帳を開くと、昨年の12月に記帳されて以降、空欄になっている。
紛れもなく、探していた最新版の通帳だった。
ちなみに、輪ゴムで束ねられている通帳は更新済みの古い通帳ばかりだった。
全通帳の束を鷲掴みにして、兄にLINEした。
「兄貴、通帳あったどー!!」
三歩進んで二歩下がって一歩進んだ。
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