筆者について
ペンネーム よっちゃん。54歳、神奈川在住のおっさん会社員。6年前に母を亡くし、南房総で一人暮らしをする90歳間近の父を気遣う毎日。介護生活で起きるあれこれを書きます。毎週月曜日更新予定。
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【只今、絶賛介護中!】⑤自宅介護の限界

大雨で避難
8月の半ばに発生した豪雨で家がやられました。
その日は、私は一時的に神奈川の自分の家に戻っていました。
いろいろと自分の荷物を取りに行く必要があったためです。
千葉の家を留守にしている間に、あの豪雨がやってきました。
神奈川から千葉までの道を車で移動するのが躊躇されるほどの豪雨で、電車も遅延したり止まっていたりで、千葉に戻れる気がしないまま、私は神奈川で豪雨が去るのを待っていました。
千葉の実家は台地部にあるため、これまで大型の台風や地震が発生しても、大きな災害にあったことはありません。
そのため、今回もそれほど心配していませんでした。
ぽんぽろぽろん(電話)・・・🎵
「ああ、よっちゃん? 町内会の松田です。さっきね、町内会の集まりがあってね。あ、お兄さんにはさっき話しておいたんだけど。念の為ね、よっちゃんにも連絡しておこうってことになって。」
「何かありましたか?」
「昨日の豪雨ね。うちの町内は大きな被害はなかったんだけど、一部冠水した場所があってね。よっちゃんの家の2軒先の裏手ね。雨は今のところおさまりつつあるけど、また降るみたいだから、お家の方、気をつけたほうがいいから連絡しました。」
「ありがとうございます。大きな被害はなかったんですね。よかった。」
「うーん、でもね、、、、、、。忙しいとは思うけど、よっちゃん、ちょっとお家見に行ってもらった方がいいかもしれんよ」
「わかりました。雨が落ち着いたらすぐに戻るつもりですので。ご連絡ありがとうございました。」
魂が抜けたみたいになっている兄に話しても反応が鈍いからか、わざわざ私にも連絡くださった。ありがたい。
翌朝
東京寄りの千葉で冠水のニュースが出ていたため、車ではなく、電車で移動。
ルートを変えたり遅延に巻き込まれながら、なんとか実家の最寄駅までたどり着き、そこからはタクシーに。
「お客さん、お近くまではいけると思いますが、ご指定の場所までは車ではいけない可能性があります。」
「なんで?」
「今朝、ご指定の場所の近くを通った際に、かなり道がひどくて車で進むのがギリギリだったので」
「いけるとことまでで構いませんのでお願いします」
道中のタクシーの運転手さんが若い女性だったこともあり、少しだけ、気持ちがウキウキしてしまった私。
地元付近の人気のパン屋さんの話などを聞きながら、「こんな田舎でも人気店があるんだな」と変に感心しながら進んだ。
「お客さん、ここまでですね」
家の少し手前で降りるよう促された。
道路は、冠水して水が引いた後のようで、近隣の空き家の植木や荷物が道路にはみ出していた。さすがに車で進めそうにないため降りることにした。
・・・・ 実家の玄関の呼び鈴を押したつもりだったがピンポンが鳴らなかった。
焦って鍵を取り出して開錠する。
!!
開いた玄関扉から差し込む鈍い光りを受けて、玄関前の廊下が少しだけキラッと光った。ぱっと見、ワックスで光っているかのようにも見えた。
しかし、そんな甘いことはなく、廊下が水浸しになっていて、水が光っているようだった。
「父さん!、兄さん!」
「おーい、ここだ」父の部屋から聞こえる。
父の部屋のドアを開けると、ベットの上であぐらをかいてテレビを操作している父の姿が目に入った」
「大丈夫か?浸水したの?」
「◯△□◯△□・・・なんだ」 うまく聞き取れないが何か言っている。
廊下に出て、家の奥に進む。
「兄さん、いる?」
と言おうとした瞬間、家の奥の床が抜けて、暗い穴がぽっかりと開いているのが目に飛び込んできた。
「なんだ!?なんだ?』
台所に進むと、2階の床が抜けて1Fの台所に落ちてきている。(写真)
父はこの状態を知っているのだろうか。父の部屋は被害が特にない状態のように見えた。
ただ、電気がつかないようで、つかないテレビを一生懸命リモコン操作している。
自力での歩行ができない父は、多分あまり正確にこの状況を理解できていないのだろう。
そこに、外から兄が戻ってきた。
「よっちゃん。やばいんだ。昨日の雨で家がミシミシ言い始めて、今朝1階と2階の床が抜けた。このままじゃ危ないからとりあえず小学校の体育館に居させてもらうことになった」
(体育館だと!? ・・・ああ、そうか。夏休みだから使わせてもらえるのか)
「とりあえず体育館に移動しようと思うんだが、家の中のものは水浸しで、持っていける着替えとかがないんだ。」
「兄さん、このままだとこの家崩れるかもしれないからすぐに出よう」
「ああ、そうだな。家の外観は損傷した箇所がわからないくらいに綺麗だから、すぐに倒壊することはないだろうけど、危ないことに変わりはなさそうだしな。」
取り急ぎ、父の布団と着るものを持って急いで父を車椅子に乗せて小学校まで移動させた。
わずか徒歩3分の目と鼻の先なのに、小学校までの道のりがとても遠く感じた。
そして、父を休ませたところで、市の職員の方がやってきた。介護認定を手配してくれたり、ケアマネージャーを手配してくれたり、父が一人暮らしで夜中に倒れた際にはALSOKと一緒に家まで来てくれ方だ。
いろいろと世話になっているが、手配してくれたケアマネージャーさんやヘルパーさんを断ってしまったり、探してくれた介護施設の入居をしなかったり、数多くの不義理もしてきた。
仕事でやってくれているとはいえ、この方には足を向けて眠れない気持ちだ。
「大変なことになりましたね。病院に戻られますか?それとも、先日見送った介護施設に再度入居交渉しますか?」
(ああ、そうか。いつまでもここに居れる訳がない。一刻も早く父の行き先を考えましょうということか。)
元々想像力が欠如していることもあるが、この事態の中で、全く頭が回っていない私をうまく誘導してくださった。
「以前見送った施設に入居できそうですか?」
「ケアマネさんがなんとかしてくれるかもしれないのでお願いしてみましょう」
「家はどうするんだ!◯△□◯△□・・・!」何か叫んでいる父。
(そんなに叫ぶ元気があるんかい。)と泣きそうな気持ちになりながらも、ここは聞き流す。
心の病の兄は、この危機的状況の中、逆に本能的にしっかりしてきているようで、黙々と荷物を運び、体育館の中に父のスペースを作りつつ、実家の電気のブレーカーを落としたり、ガスの解約を手配したりしている。
「俺、病院に行ってくるわ。父さんの薬が濡れてしまったからもらってくる」
(おお、そうか。気が動転して薬のことなんて全く気づかなかったよ。すげーな兄さん。)
「兄さん、頼んだよ」
(続く)
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