正社員としての就業は減る。でも「働く人」は増えているという現実
昨日、ある転職・人材紹介エージェントの方と話しました。
「50代後半、60代の転職希望者は確実に増えています。ただ、正社員として決まる確率はかなり低い。体感では1〜2%程度です。」
働く60代は増えている
まず押さえておきたいのは、
60代で働く人の割合そのものは上昇しているという事実です。
総務省「労働力調査」によると、
- 65〜69歳の就業率は 52.0%
- 70〜74歳でも 34.0%
と、いずれも高水準を維持しています。
(出典:総務省統計局「労働力調査」/内閣府『令和6年版 高齢社会白書』)
つまり、60代=仕事がない ではなく、60代でも半数以上が働いている
というのが現実です。
ただし「雇用の形」は変わる
年齢が上がるにつれて、
雇用形態が大きく変わるというデータがあります。
内閣府『令和6年版 高齢社会白書』で、役員を除く雇用者のうち非正規雇用の割合を見ると
男女別非正規雇用比率
| 男性 | 女性 | |
| 55〜59歳 | 11.2% | 58.5% |
| 60〜64歳 | 44.4% | 73.3% |
| 65〜69歳 | 67.6% | 84.8% |
60歳を境に、非正規雇用の割合が一気に上がることが分かります。
なぜ60歳以降で非正規が増えるのか
主な理由は「定年後再雇用制度」です。
現在の制度では、企業は65歳までの雇用機会確保が義務付けられています。
しかしその多くは、
- 嘱託社員
- 契約社員
- パート
といった非正規形態での再雇用です。
つまり、
「働き続ける人」は増えているが、
「正社員として働き続ける人」は減っているという構造です。
50代後半は分岐点
55〜59歳の男性では非正規は約11%。
この層はまだ正規雇用が中心です。
しかし60歳を超えると、
正社員 → 再雇用(非正規)へという移行が一般的になります。
では、悲観すべきなのか?
必ずしもそうではありません。
- 働く場はある
- 収入はゼロにならない
- 働き方は柔軟になる
ただし、
- 年収は下がる可能性が高い
- 役職は外れる
- 責任範囲は縮小する
という変化は現実として受け止める必要がありそうです。
みんな、どうしているのか
50代後半以降の働き方は、主に4つに分かれます。
① 現職に残り再雇用
60歳以降も同じ会社で働くパターンです。
・嘱託社員
・契約社員
・再雇用制度
等があげられ、最も多いパターンです。
年収は下がるが安定性は高いが、安定性は高く、
これまで築き上げた人間関係は継続できます。
② 同業他社へ転職
専門性がある場合は可能性あり。
ただし、正社員枠は狭く、ポストは限定的となります。
年収は横ばい〜減少となる場合があります。
③ 非正規・契約で複数就業
1社専属ではなく、
パート、アルバイト、契約社員、派遣
を収入源を分散させ、複数掛け持ちする働き方です。
自由度が比較的高く、社会との接点は維持されます。
60代以降で増える働き方。
④ 独立・自営/フリーランスで自ら稼ぐ
- コンサル
- 顧問、アドバイザー
- 各種業務の受託
雇われない働き方で、小規模での起業をイメージします。
自由度は高いが、収入の安定性は低い。
65〜69歳就業者のうち約25%は自営業主とされ、
(出典:総務省統計局「労働力調査」/内閣府『令和6年版 高齢社会白書』)
“少数派”ではあるが、決して例外ではない。
体力よりも「人脈」と「専門性」が問われる選択肢です。
⑤ 働かない(資産活用型)
仕事はリタイアし、年金+資産取り崩しや、投資収入で生活する選択肢。
時間の自由度は最大になりますが、生活費設計が肝となります。
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